三重県下のスモン患者91名(健康管理手当受給者93名に対して97.8%)を昭和63年から平成5年にわたって, 医師会, 自治体, 保健所, 患者会と協力して, スモン現状調査個人票により検診に面接を行なった. 検診数は103例, その内12例は和解のない特定疾患医療受給のみであり, 各項目について分析した. 他地区と異なり, 在宅検診は40.8%と高頻度であったが, 患者群は55~75歳にピーク年齢を有し, 視力障害は加齢のため70%以上, 歩行障害は52%, 下肢運動障害は85%であり, PTR亢進・ATR低下のパターンは50%に観察し, バビンスキー反射陽性は27%で臍レベル以上の知覚障害は50%, 触覚障害(73.4%)<痛覚障害(95%), 異常知覚はほぼ全例に, 自律神経障害は90%に, 合併症は白内障, 高血圧, 脳血管障害, 消化器疾患, 脊椎疾患の順であり, スモンそのものの障害例が主流であり, 鍼灸公費を30%が受け, 医療, 福祉問題の地域ケアシステム確立を目指して行く必要がある.
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