症例1は生後47日の男児で,心断層エコー,心臓カテーテルおよび,心血管造影検査にて,右肺動脈
上行大動脈
起始症,三尖弁閉鎖不全,心房中隔欠損および大動脈縮窄と診断した.生後3カ月時に,右肺動脈・主肺動脈直接端側吻合術を施行した.術後主肺動脈圧は正常化したが,術後1年で行った右室造影では,三尖弁閉鎖不全(Sellers3度)は依然持続しており,人工弁置換術を検討中である.
症例2は生後2カ月の男児で,入院時に著明な呼吸不全,心不全を認めた.心断層エコー,心臓カテーテルおよび,心血管造影検査にて,右肺動脈
上行大動脈
起始症と三尖弁閉鎖不全(Sellers 4度)と診断した.本症例は,入院後心不全が急速に進行し死亡した.
一側肺動脈
上行大動脈
起始症の本邦報告例について,生存例と死亡例を比較検討した.両者ともに,乳児期早期より高度の肺高血症を呈しており,特に差は認められなかった.三尖弁閉鎖不全の合併について比較すると,死亡例では明らかに合併頻度が高かった.三尖弁閉鎖不全を合併した10例は,ほとんどが4カ月以内に心不全症状が出現し,うち7例が死亡している.一側の肺動脈
上行大動脈
起始症に三尖弁閉鎖不全の合併はまれではなく,合併例では心不全が急速に進行し予後不良であり,早期診断,早期手術が望まれる.
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