心臓
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症例 42歳で診断された肺動脈弁狭窄と左肺動脈上行大動脈起始を伴った両大血管右室起始症の1例
河住 茂酒井 俊太桑名 壮太郎堀川 龍是草間 芳樹横山 広行早川 弘一
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1993 年 25 巻 3 号 p. 295-300

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抄録
症例は42歳,男性.生下時より心雑音を指摘され,小児期は運動時呼吸困難,時にチアノーゼあり.発育は正常で加齢と共に症状軽減のため精査せず.平成2年9月NYHA III度の心不全症状が出現し11月入院.チアノーゼ,ばち状指,多血症,低酸素血症を認む.3LでLevine5/6度の汎収縮期雑音を聴取.胸部X線はCTR74.5%,右1弓突出,左2弓は丸みを欠き,右肺門陰影増強.心電図はLADと高度な心房負荷を伴うRVH.心エコー図でVSD,高度RVH,大動脈右室起始で僧帽弁と両半月弁との連続性がなく,両大血管右室起始症(DORV)と考えた.心臓カテーテル検査でカテーテルは右室から両大血管へ,またVSDを経て左室へ挿入され,右室圧130/11mmHgで左室圧と等しく,大動脈圧128/80mmHg,肺動脈圧48/17mmHgでvalvular PSあり.酸素飽和度は肺動脈74%,大動脈89%.大動脈DSAで左肺動脈は上行大動脈から起始.また右大動脈弓,冠状動脈異常の合併あり.MRIでDORV(SDD),VSD related to PAと診断した.なお肺血流スキャンニングは左肺放射活性比の著減あり.本例は内科治療で軽快退院したが,高齢で診断され,また極めてまれな合併奇形を有するDORVの1例であり,ここに報告する.
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