既存住宅流通市場においては, 情報の非対称性問題が, 顕著な形で現れている. このため, 住宅金融がリコースローンに限定される, 維持管理のインセンティブが低下するなど, 住宅ストック全体の質を低下させる影響をもたらしている. これらを解決するために必要な政策としては, 既存住宅の品質に関する技術情報の充実, 履歴情報の整備, 住宅の取引データの整備などが有効である. このような政策の実施に伴い住宅市場の情報の非対称性が緩和された場合, 既存住宅流通市場が活性化や住宅ストックの質の向上などの効果のみならず, ノンリコースローンが実施可能なものになるなど, いくつかの金融上の効果も見込まれる.
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