症例は77歳,男性.両下肢浮腫を主訴に近医受診し,血液検査で高度血小板減少,低蛋白,貧血を認めたため,精査目的で当院に紹介入院となった.入院時の血液検査では, TP 3.5g/dl, Hb 9.8g/dl, Plt1.8万/μlであった.腹部CTを施行したところ脾は腫大し,内部に複数の腫瘍を認めた.肝内にも複数の腫瘍を認めた.術前確定診断がつけられなかったことと,血小板の回復を期待して開腹下に脾摘を施行した.脾臓は, 12×9.5×6cmで辺縁やや不明瞭な多数の出血性腫瘍を認めた.免疫染色では, CD 31(+), KPI (CD68) (+), S-100(+), Vimentin(+), CD1a(-), CD21(-) で血管肉腫と診断された.脾摘後も患者の血小板は回復することなく,低値が続いた.脾摘後の補助治療については,特に行われなかった.平成15年9月18日患者は全身倦怠感,呼吸苦を訴え,救急外来に搬送されたが,来院時すでに心肺停止状態であり,蘇生を試みるも回復せず死亡した.
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