大昭和製紙 (株) 白老工場は, 平成12年6月に軽質炭酸カルシウム (軽カル) の製造設備を完工し, 順調に稼動している。当工場は, 新聞用紙, ライナーを除くほとんどの洋紙を酸性紙から
中性紙
に転換することを計面し,
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を製造するために不可欠な填料である軽カルの製造設備を工場内に建設することとなった。このため, 平成11年夏に軽カル製造メーカーのスペシャリティーミネラルズFMT (株)(SMF社) と製造, 販売に係わる協定を取り交わし, 完工に及んでいる。
SMF社の親会社である米国のスペシャリティーミネラルズ社は, 海外に55のオンサイト工場を有する世界最大の軽カルメーカーであり, 軽カル生産量は年間210万トンに達していて, 高品質の軽カルを供給していることでよく知られている。
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は一般的に保存時の劣化が少ない, 白色度・不透明度が高い, 印刷適性が優れる等の利点があるが, 反面, 抄紙機系内が汚れやすくインクが滲みやすい, コストが高い等の問題点もある。そのため, 白老工場では情報用紙や特殊用途の上質紙のみの適用にとどまっていたが,
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抄造上の問題点も技術的に克服できる見通しがついたため, 新聞用紙以外のほとんどの洋紙を
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に転換することに踏み切った。今回は自家製炭カル設備の概要や炭カルの特徴などの紹介, また一般上質紙の酸性紙から
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への操業経験について報告する。
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