〈はじめに〉指定
介護療養型医療施設
では、急性期から回復期の医学的リハビリテーションによって獲得された身体機能や能力を維持しつつ、実際の生活場所でのADLへと適応を促してゆく役割がある。そこで、寝たきり患者に対し、日常生活援助の中で看護・介護の負担が少しでも軽減できるようにと、昨年から拘縮予防体操(以下「リハビリ体操」とする)を始めた。しかし、スタッフがリハビリ体操の必要性と手技をどの程度理解できているのかは明確ではなく、不安を持ちながら実施していることが反省としてあげられた。そこで、寝たきり患者へのアプローチの統一化を試みたところスタッフの認識変化を捉える事が出来、対象患者の変化も少しずつみられてきた。今回その経過をここに報告する。
〈研究目的〉
1.スタッフへのアンケートにより、寝たきり患者のアプローチに対しスタッフが何に不安があり、何を知りたいのか把握する。
2.様々な職種で構成されている病棟ではあるが、一つの目標に向かいポジショニング・リハビリ体操の知識・技術の統一化と向上が病棟全体として図ることができる。
3. アンケート調査により、スタッフの知識
面・技術面・精神面の変化を捉える。
4.スタッフが統一化されたリハビリ体操を不安なく実施することにより、患者は安心して体操を受け入れより効果的になる。
(研究方法)
1. 研究期間:平成18年4月15日~平成18年11月30日
2. 対象
1)病棟スタッフ 看護師9名
介護福祉士4名 ケアワーカー9名
2)スタッフが選定した拘縮がある患者5名
3.方法:開始前・開始後に病棟スタッフにリハビリ体操に関するアンケート調査をする。
〈結果・考察〉
開始前のアンケートより、具体的にスタッフが困っていることや不安に思っていることを理解することができた。理学療法士に拘縮予防の勉強会をしてもらい学びを深めることができたので、選定した対象患者各々に合ったポジショニング・リハビリ体操を実践することができた。
取り組みから6ヶ月経過時点でのスタッフアンケート調査では、固定チームナーシングでの関わりのため選定患者がいるチームの方が実践する上で知識面・技術面の向上が早い傾向が認められた。ポジショニングは写真を見ながらどちらのチームのスタッフも関わるため理解度に大差はなかった。
実際の寝たきり患者へのアプローチの中では、関わり方によって認識の差が生じることを実感した。また、病棟全体としての知識面・技術面の向上は十分には図る事ができなかったので、今後はさらにリハビリカンファレンスの充実や関わりの再評価・再検討を行うと必要がある。また、関節可動域の計測結果の報告によりスタッフのモチベーションを高め、知識面・技術面の向上を病棟全体として図れるようにしていく必要性がある。
(結論)
長期臥床による悪影響は、筋骨系に廃用性筋萎縮・関節拘縮を起すことが代表的な症状であり、それらは急性期より積極的に予防に努めることが重要である。今後も今回の取り組みが継続して実施できるよう他職種との積極的な連携を図って、日常生活援助の中で身体機能や能力を維持できる看護・介護に取り組んでいきたい。
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