本稿では,雇用保険制度下において,北海道で特徴的に展開した通年雇用政策と林業労働者が取り結んだ関係を
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の実践を軸に検討した。通年雇用政策を読み替え,その内容を豊富化した
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の実践の到達点は,(1)林業労働者の生活保障,(2)林業労働者への「内容豊かな職業教育」機会の付与,(3)林業労働者が政策形成の一翼を担っていること,(4)林業・森林管理を事業化した
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の展開-の4点にまとめられる。特に,企業内教育にはみられない
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独自のカリキュラム編成,
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による自発的な仕事づくりの2点は重要である。林業労働者は,雇用保険制度における通年雇用政策に支えられ,また政策を実質化した林業労働者自らによる
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の活動によって,林業・森林管理の担い手として形成されている。したがって,国は通年雇用政策の後退ではなく,職業教育的側面を重視した政策の拡張こそ課題とすべきである。いま求められているのは,季節労働者(林業労働者)に職業生活を見通す上でのパワーを徹底して付与することであろう。
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