目的 : ソフトレシプロック (RECIPROC blue) は, その柔軟性と使用本数の減少により従来のNi-Tiロータリーファイルより正確かつ, 規格化された形成が可能となった. そこで今回, ソフトレシプロックを用いた根管形成で, 術者間によって差が出るかを確認した.
材料と方法 : 実験にはJ型エポキシレジン製透明根管模型 (END1002-30-#20, NISSIN) を使用した. 術者はNi-Tiロータリーファイル使用歴3年以上の歯科医師 (NTE), Ni-Tiロータリーファイル使用経験の少ないもしくは全くない歯科医師 (NTI), 歯内療法の臨床実習が終了した歯学部5年生の学生 (DS5), 歯内療法の知識がない歯学部1年生の学生 (DS1) の4群, 各7人とした. 各群において, 手用ステンレススチールKファイル#15にてグライドパスの確認後, エンド用往復回転コントラ−150°/30° (RECIPROC Direct) に接続したソフトレシプロックを用い, #25/.08テーパー, #40/.06テーパーの順で根管形成を実施した. 形成に要した時間を, 同一人物が測定した. 根管形成前, #25での根管形成終了後および#40での根管形成終了後の根管模型にう蝕検知液を満たした状態で, 実体顕微鏡 (SZX16, OLYMPUS) 観察し写真撮影 (DP26, OLYMPUS) を行った. その後,
写真編集
ソフト (Photoshop Elements13) 上にて根管形成前後の写真を重ね合わせ, 画像解析ソフト (ImageJ) にて外湾側と内湾側における根管幅径増加量を測定し, 両者の差を根管変位量とした. 根尖から1, 3, 5, 8mmの位置での中央値を各群間でMann-Whitney
U testを行い評価した.
結果 : 4群間における形成時間および根管変位量は, NTEとその他の群間で有意差は認めなかった (p>0.05).
結論 : 本研究において, 術者のNi-Tiロータリーファイル使用経験の有無による根管形成時間および根管変位量ともに差は認めなかった. ソフトレシプロックは, どの術者群においても短時間かつ正確な根管拡大形成が可能であると示唆された.
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