研究目的 PPDSの少量を
分注
して凍結乾燥を行う際,試料が飛散する可能性が考えられるので,これを防止するため,種々な媒質を添加し初期の目的を達成するため本研究を行つた。 研究1.媒質の選択 研究方法 媒質としては,糖,蛋白,アミノ酸等10種類を用い,濃度はCMC以外は5%溶液を用い,これをPPDS20γに各媒質1%の割に2ccずつ添加し,硝子製多岐管式装置を用いて凍結乾燥を行い,乾燥状態を調べ,次で,各アンプルに燐酸塩緩衝液10ccずつを加えて溶解性をみた。 研究成績及考按 1.各媒質添加后のPPDSの溶解性 乳糖,庶糖,ブドー糖,アラビアゴム,溶性澱粉,ゲラチン,デキストリン,CMC,デキストラン,グルタミン酸ソーダ等のうち,乾燥状態および溶解性の良かつたものは乳糖,アラビアゴム,デキストリン等であつた。 2.乳糖とアラビアゴム添加PPDSの溶解性 乳糖0.2%,アラビアゴム0.5%についてこれら単独と,両者混ぜたものとにPPDSを6γ/ccの割に加えた後凍結乾燥を行つたところ,乳糖のみでは溶け難いが,アラビアゴム添加のものは最もよく溶けた。以上2つの実験からアラビアゴム添加PPDSは少量でもよく溶解することがわかつた。 研究2 アラビアゴム 添加PPDSの皮内反応に及ぼす影響 a)未感作モルモットにおける非特異反応 研究方法 健康な未感作モルモット58匹を用い,a, OT100X, b, PPDS 100γ/0.1cc, c,アラビアゴム0.004%添加PPDS 100γ/0.1ccの3種の試料を皮内注射し,注射后24および48時間における反応を測定した。 研究成績 これら3試料による24時間における反応の平均値はa, 4.2mm, b, 4.6mm, c, 4.9mmであつて,有意の差は認められなかつた。 b)人体における皮内反応 研究方法 年1度集団検診を実施している学童を用い,PPDS 0.05γ/0.1ccを a)緩衝液で希釈したもの, b),アラビアゴム0.04%添加後衝液で希釈したもの,これら両者をそれぞれ凍結乾燥したもの等について皮内反応上の差を調べた。 研究成績 アラビアゴム添加によつて反応性の増強および減弱は認められず,また,凍結乾燥においても飛散しない様であつた。以上の成績から,アラビアゴム添加PPDSは皮内反応上特に影響は与えなかつた。
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