1989年1~4月に東北地方の21個人開業医を受診した呼吸器感染症患者の咽頭拭い液及び喀痰から分離された病原細菌11菌種, 1,448株に対するABPC, CCL, CFIX, CFTM, OFLX, CPFXおよびDMPPCのMICを化療標準法により測定した.
S. aureusと
B. catarrhalis及び
P. aeruginosaや
A. calcoaceticus等の糖非発酵性グラム陰性桿菌に対する抗菌力は新キノロン系が最も優れ,
S. pnenmoniaeと
S. pyogenes等の連鎖球菌属にはABPCとCFTMが,
H. influenzae及び
K. pneumoniae.
E. coli,
E. cloacae,
S. marcescens等の腸内細菌科には新キノロン系と第3世代セフェム系が優れていた. MIC≧1.56μg/mlを示した株は
S. aureusでABPC 43.8%, CCL 64.2%, OFLX 3.7%, CPFX 4.5%, CFIXとCFTMで98%以上に認めたが, ABPCのMICが12.5μg/ml以上の30株でDMPPCにも12.5μg/ml以上のMRSAは1株のみであった. 同様にMIC≧1.56μg/mlの株は
S. pneumoniaeではABPC 6.5%, CCL 33.3%, CFIX 18.3%, CFTM 3.6%, OFLX 57.8%, CPFX 23.5%に,
H. influenzaeではABPC 14.9%, CCL 63.2%, CFIX 0.9%, CFTM 0.3%, OFLX 0.6%, CPFX 0.3%に認められた.
H. influenzaeの26.7%にβ-lactamase産生が認められた. 一次医療ではMRSAは極めて少ないが, β-lactamase産生性ABPC耐性
H. influenzae等の薬剤耐性菌は多数出現しており, 今後の観察が必要である.
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