我々はこれまで、シクロペンタン‐1,3‐ジラジカルの最安定スピン多重度および反応性に対する2位上置換基 Xの効果について検討し、酸素官能基の場合 (X = OR) とケイ素官能基の場合 (X = SiR
3) では、最安定一重項状態の電子配置が異なることを見出してきた。このような一重項ジラジカルの最安定電子配置の違いは、2,3-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体が脱窒素してシクロペンタン-1,3-ジラジカルを与える段階にも影響すると考えられる。そこで本研究では、2,3-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体の脱窒素反応機構に及ぼす7位の置換基効果を量子化学計算と実験の両面から検討し、7位の置換基が酸素官能基の場合 (X = OR) には段階的な脱窒素反応が有利となるが、ケイ素官能基の場合 (X = SiR
3) には協奏的な脱窒素反応が優先することがわかった。
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