子宮内膜細胞診において, 高分化型腺癌 (以下G1腺癌) 6症例と複雑型異型増殖症 (以下異型増殖症) 6症例に出現する樹枝状集塊中のStromalAに関して比較し, どのようなStromalAが出現するとき, 癌である可能性や癌への移行の可能性が高いかを検討し, 以下の結果を得た.
1) StromalAの平均出現数は, G1腺癌で41.8個, 異型増殖症で18.5個であった. 6層以上: 6層未満のStromalAの出現比は, G1腺癌で6: 4, 異型増殖症で3: 7であった.
2) StromalAの層数は, G1腺癌で平均7.5層 (出現範囲3~32層), 異型増殖症で平均4.8層 (2~10層), StromalAの太さ (幅) は, G1腺癌では平均31.6μm (5~180μm), 異型増殖症では平均16.5μm (5~45μm) であった.
3) StromalAを構成する個々の細胞の核径を計測した結果, 6層未満のStromalAの核径が大であれば, G1腺癌である可能性が高かった.
G1腺癌と異型増殖症の鑑別は, StromalAの出現数, 層数, 太さ (幅) を観察することに加え, 6層未満のStromalAを構成する細胞の核の大きさに注目することも有用な所見と考えた.
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