DNAの
塩基配列
の違いに基づいて食肉の原材料を決定するため,食用とされる可能性のある動物種から,ミトコンドリアのシトクロムb遺伝子をPCRで増幅し,
塩基配列
を決定した.PCRに用いたプライマー,MI1(5'-CAAATCCTCACAGGCCTATTCCTAGC-3'), MI2 (5'-TAGGCGA-ATAGGAAATATCATTCGGGTTTGAT-3')は,発表されているウシ,ヒト,マウス,ニワトリのシトクロムb遺伝子の配列からよく保存されている領域を選び,共通性の高い配列とした.試験対象とした8種の哺乳類と5種の鳥類からシトクロムb遺伝子の中央部分646塩基を増幅し,ダイターミネーターサイクルシーケンス法(ABI)でPCR産物の
塩基配列
を決定した.本試験で決定したウシの
塩基配列
は,すでに発表されているウシのシトクロムb遺伝子の
塩基配列
と一致し,ヒッジ,ヤギ,ブタ,ニワトリも発表されている
塩基配列
とほとんど一致していた.今回決定した
塩基配列
と発表されている配列との間で異なっていた塩基の数は646塩基中,7(ヒツジ),16(ヤギ),2(ブタ),3(ニワトリ)塩基であった.一方,類縁関係の近いニホンカモシカ,ヒツジ,ヤギの間で
塩基配列
を比較すると,3種の間で67-72塩基の違いがあり,
塩基配列
によって種を判別することは容易であった.簡易法として,PCR産物の制限酵素Taq I, Alu I,Hae III切断パターンから種を同定することも可能であった.
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