現在, 集落排水に接触曝気方式が多く採用されている. 時代の要請に伴い, 処理水中の窒素・リン濃度の低減が重要な課題となっている. 本実験は, 窒素・リンのうち, 窒素の除去能力を高める処理工程を検討するために行ったものである. これまで, 集落排水の接触曝気方式に使われてきた窒素除去方式は, 処理水循環型嫌気好気ろ床方式である. 今回は, この方式とは別の新しい窒素除去方式で実験を行った. すなわち, 好気槽を嫌気槽の前段に持ってきたこと, 好気槽出口から嫌気槽入口に処理水を返送していたものを, 好気槽内の循環に変えたことである. そして, 実験結果を要約すると次のようになる.
1. 低温時に硝化を十分進めるには, 曝気槽の容積(水理学的滞留時間)をプロトタイプであるJARUS IV型の約1.5倍とし, かつ曝気槽第3槽(Fig.2のNo.3タンク)から第1槽(Fig.2のNo.1タンク)に汚水(8/5)・
Qを循環させることが有効であることが示された. そして, この硝化方法で低温時(約13℃)においても100%近い硝化率が達成された.
2. 従来, 接触曝気方式では硝化が進展すれば窒素除去は容易に達成されるものと思われてきた. しかし, 本実験に採用した処理工程では, 十分な脱窒は発現しなかった. 窒素除去率をさらに向上させるには, 処理工程や嫌気ろ床槽での汚水の水理学的滞留時間等を検討することが必要であると示唆された.
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