わが国においては、発達障害のある子どもの家族支援のひとつとしてペアレント・トレーニング(以下、PT)の実施が推奨されているが、その導入地域は20%にとどまっている。本研究ではPTの地域実装を目的とし、小学校において教員が実施するPTの短縮版「子育て学習会」の効果を検討した。7校11名の教員が10.5時間の研修を受け、実施時の教材をもとに3回(各90分)の子育て学習会を実施した。43名の保護者が受講し、19名のデータが収集された。その結果、受講前後の比較から、教員の自己効力感について、保護者対応に関する項目は変化がなかったが、家庭に働きかけることを含む学級経営の項目や、児童への支援や指導法に関する項目の得点が向上した。また、保護者の肯定的な関わり方が増え、抑うつ度と子どもの問題行動が有意に低下した。小学校でのPT実施は、PTを地域に実装するひとつの方法として機能する可能性が示唆された。
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