実験用に購入した関東地方の成ネコについて, 1973~74年 (91頭) および1980~81年 (80頭) に剖検, 糞便検査および血清抗体検査を行って, 原虫および蠕虫の浸淫状況を調べた。
住血原虫はすべて陰性であり, トキソプラズマ抗体陽性率は1973~74年が65.4% (HAテストによる) , 1980~81年が26.3% (LAテストによる) であった。糞便中に検出されたコクシジウムオーシストは
Isospora felis (1973~74年8.8%, 1980~81年3.8%) および
Isosporarivolta (同5.5%, 1.3%) であった。
腸管内蠕虫の寄生率は1973~74年が69.2%, 1980~81年が63.7%であり, 腸管内に見出された蠕虫はネコ回虫, ネコ鉤虫, 瓜実条虫, マンソン裂頭条虫, 肥頸条虫および壺形吸虫であった。腸管以外では心臓から犬糸状虫, 膀胱から毛細線虫, 胃から胃虫, 胆管から肝吸虫が検出された。
1973~74年の調査成績と1980~81年のそれとを比較すると, トキソプラズマ抗体陽性率およびコクシジウムオーシスト検出率の下降, 検出された蠕虫種の減少, 重複寄生ネコの減少などから, 1980~81年に調査対象としたネコの方が少なくとも
寄生虫
学的にはきれいであったと考えられる。
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