血清中G4型アセチルコリン・エステレース (AChE) 活性を, 脳血管障害および痴呆疾患について測定した.皮質枝梗塞急性期19例, 穿通枝梗塞急性期5例, 皮質枝梗塞慢性期28例, 穿通枝梗塞慢性期24例について検討したが, いずれも健常対照群に比して高値を示した.また脳出血発症7日以内の20例では脳梗塞群と比較して低値であった.多発梗塞性疾呆で高値を示し, アルツハイマー型痴呆で低値を示した.脳梗塞12症例で, 発症より経日的に血清G4型AChE活性の変化をみたが, 一定の傾向を示さなかった.また, 脳梗塞における血圧とAChE活性の間に相関はみられなかった.多発梗塞性痴呆について, 年齢と血清AChE活性の間にはr=0.47で, 有意の相関がみられた.初老期発症アルツハイマー病では高齢発症アルツハイマー型痴呆より低値であった.年齢を考慮すれば, 血清AChE活性は血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆の鑑別の補助手段となると考えられる.
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