2019 年 41 巻 5 号 p. 390-393
要旨:症例は38 歳男性.右手の痺れ,立ちくらみを主訴に近医受診し,CT で左中心前溝にくも膜下出血を認めたため当院を紹介受診した.頭部MRI-T2*強調画像では,上矢状静脈洞の一部とそこに流入する皮質静脈に低信号領域を認め,静脈洞血栓症が疑われた.脳血管撮影を施行したところ,同皮質静脈は欠損しており,上矢状静脈洞も一部描出が不良であったことより,入院当日に脳静脈洞血栓症によるくも膜下出血と診断可能であった.脳血管撮影後のCT では出血の拡大を認めたものの,早期に抗凝固療法を開始することでその後は出血の増悪なく経過した.精査の結果プロテインS 活性の低下を認めたため,プロテインS 欠乏症による静脈洞血栓症が疑われ,抗凝固療法を継続した.本症例のような円蓋部に限局した非典型的なくも膜下出血の原因疾患としては,静脈洞血栓症を念頭におく必要があり,その診断にはMRI-T2*強調画像が有用であると思われた.