学校教育においては,現実場面における問題を数学を用いて解決できる力の育成が求められている一方で,そのような教材を多忙な学校現場で初めからすべて作成するのは難しい現状がある.そこで本研究では,数学教科書の問題を出発点として,現実場面との接続を意識した問題解決に取り組める教材へ再教材化すること目的とする.その際,学習者の経験から活動や思考が創出される程度を示す真正性に着目し,「一次関数の活用」を事例として,生徒が数学的表現を現実の問題解決に活用することを可能とする教材へと修正・改善する.
提案する教材では,解答が複数個ある問題場面に作り変えることで,学習者による問題場面の解釈の多様性を創出していく点に特徴がある.これにより,提示された問題場面の状況を現実と照らして考える活動を実現し,数学的表現を活用できることや現実の問題解決に学んだ数学を生かせることに学習者が気付いていく授業設計ができる可能性を提示する.
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