快適性という言葉は広く用いられているものの, その工学的な定義は不明瞭で, 製品設計に利用できる概念として形成されるには至っていない. そこで本研究では, 快適性に関係する諸特性の調査を通して, 製品設計に応用できる
快適性評価
方法の開発を主眼とした. まず, 従来の人間工学にかかわる知見等をもとに, 作業に関する快適性に影響を与える要因 (快適性形成要因) を抽出した. これをもとに種々の製品について快適性形成要因との関係をアンケート調査によって分析し, その特徴を明らかにした. 次に, インターフェイスの各仕様変更に伴う快適性の変動を評価する方法を検討した. すなわち, (1) 対象とした製品, およびその使途での快適性形成要因の選定, (2) 快適性形成要因がその製品の快適性に及ぼす影響係数の算出, (3) インターフェイス仕様の設定, (4) 快適性形成要因に対するインターフェイス仕様のかかわり具合の決定, (5) インターフェイス仕様から
快適性評価
値を推定する式の導出, である. さらに, この
快適性評価
の方法を, 自動車の乗降のしやすさの評価に事例的に適用したところ, 快適性に対する主観評価値と非常に相関の高い
快適性評価
値を得ることができ, その有効性が確認されるとともに, 快適な製品設計への応用の可能性が確認された.
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