本研究では、日本の大学生を対象とし、オンライン
性教育
を通じた学習経験を明らかにすることを目的とした。対象者は、2021年1月に開催されたオンライン
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の参加者70名のうち、本調査の協力に同意した男性3名、女性4名、計7名の大学生とした。対象者の年齢は18歳-23歳であった。開催されたオンライン
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は、大学における学生プロジェクトの1つとして学生が主催、運営した。オンライン
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では「学校における性に関する指導の概要」、「性感染症」、「中絶と避妊」の内容について取り扱われた。本研究での研究課題は、(1)開催されたオンライン
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が、対象者と主催者および他の参加学生との対人関係にどのような影響を及ぼしたか、(2)オンライン
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は大学生の学習経験にどのように寄与したか、の2つであった。そこで、成人期における大学生の学習経験を明らかにするために、Knowles(1989)が提唱したアンドラゴジー理論(成人経験学習理論)を枠組みとして質的研究を行った。データは、オンライン
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で取り扱った内容と研究課題に基づいて作成された項目を用いた半構造化面接法により収集した。分析は、継続的比較分析法を用いた。その結果、「オンライン教育による利点」、「一人暮らしの大学生における
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の重要性」、「妊娠・中絶に関する倫理的問題と価値観」の3つの主要なテーマが学習経験として導き出された。これらには、安全な性行動をとることと、心身共に健康に過ごそうとする意識が強く影響していると思われた。また、オンラインでの実施や主催者の配慮により、参加者は顔や名前を明かさずに参加できたことは、大学生における
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への積極的な参加を促すことが示唆された。今後さらに
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における大学生の学習経験の質の向上を図るためには、開催に関わる主催者の意識や関心の範囲を広げ、教育内容をさらに工夫する必要があると考えられた。
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