今回, 当教育課程の修了者 (1期生, 2期生) を含む
感染管理看護師
(以下ICN) が実践しているサーベイランス活動の現状について調査票を用いて明らかにし, 当教育課程の課題について考察した. 当教育課程修了生の多くがサーベイランス計画を立案し, サーベイランスの必要性および目標を明確にしており, 具体的な感染防止対策の立案・評価につながる部位特異的サーベイランスを実施し, 自身でデータ収集およびケース判定を行うという, より精度の高いデータ収集の方法を選択していた. また, 自施設で得られた感染率をNNISデータと比較し, 感染管理上の問題を明確にするための大まかな指標を得ていた. しかし, 平均値, 標準偏差, カイ二乗検定, t検定などの基礎的な統計学的手法をデータ分析に活用している施設は少なかった. これらの手法は, 感染対策導入後の感染率の変化などを評価し, 自身の感染管理活動の重要性や効果を施設管理者やスタッフに対し, アピールするために不可欠である.当教育課程では, 修了生に対して定期的にフォローアップ研修を実施することにより, 基礎的なサーベイランスデータの解析, 解析結果のプレゼンテーションなどに関する学習の機会を提供する必要があると考える.さらに今後, これらの感染管理専門家に, 組織横断的に活動する専任ポジションを提供し, フルに活用する施設が増加することが望まれる.
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