【背景と目的】 教室では2010年より腹腔鏡下肝切除を導入した. 未だ症例数は充分ではないが, 導入後1年間の手術の適応や手技と短期成績について報告する.
【対象と方法】 導入の初期段階の1年間にあるため, 主に腹腔鏡補助下に手術を行った. 対象は肝細胞癌10例, 胆管細胞癌 3例, 転移性肝癌4例, その他の腫瘍3例であった. 術式と手術の適応と手技について述べ, 手術時間, 出血量, 合併症について検討した.
【結 果】 術式は腹腔鏡補助下肝切除が13例, 完全腹腔鏡下肝切除が7例であった. 手術時間は腹腔鏡補助下肝切除で平均6時間58分, 完全腹腔鏡下肝切除平均5時間27分であり, 平均出血量は腹腔鏡補助下肝切除で765ml, 完全腹腔鏡下肝切除390mlであった. 術後合併症は胆汁漏から肝不全になった症例が1例, 誤嚥性肺炎が1例あった.
【結 語】 腹腔鏡下肝切除術は技術的に克服すべき問題もあるが, 整容性に優れ, 慎重に行えば開腹手術と遜色のない手術となり得る.
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