【要旨】長期かっ多人数におよぶ補助人工心臓治療(1985年から全71例,年齢6~80歳,体重16~90kg,補助期間1~1028日,現在9例治療継続中)に臨床工学技士が関与する際,以下のごとく管理した。(1) 駆動条件調整:ポンプ完全充満/完全拍出の「Full Fill/Full Empty」維持のため,駆動回数,駆出時間,駆動圧を調整した。患者ごとの脱血管先端留置部位,予備心機能による生理的変化の影響を考慮し,リハビリなどの体位変化に応じた調整を行った。成人用ポンプ対応の小児症例は,血栓予防と生理的拍出を考慮した調整が必要であった。(2) 安全教育:一回/年の看護師向け勉強会,一回/月の患者・家族向け訓練「
手押しポンプ
緊急対応」を実施した。(3) 保守管理:装置の一回/年の定期点検(メーカー講習受講),一回/日の日常点検と,移動時のDC稼働時間や,AC電源未接続防止のためのチェックリストでの確認を実施した。また専用壁吸引配管敷設などの設備改善対応も行った。(4)QOL向上:循環動態改善後,早期に通常生活を目指すべくリハビリを実施した。技士は駆動条件調整と装置移動介助を行い,精神的ケアのための散歩などにも積極的に同行した。技士はチームの一員として積極的に関与すべきである。
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