詳細検索結果
以下の条件での結果を表示する: 検索条件を変更
クエリ検索: "手揉み茶"
6件中 1-6の結果を表示しています
  • 坂本 孝義
    茶業研究報告
    2017年 2017 巻 124 号 23-27
    発行日: 2017/12/31
    公開日: 2020/01/01
    ジャーナル フリー

    傾斜釜を用いる釜炒り茶の起源には不明な部分があり,製法は記録に乏しいことから,製茶工程が機械化される以前の,佐賀県嬉野市における釜炒り茶の製法の聞き取り調査を行った。その工程は炒り葉→揉捻→第一水乾→揉捻→第二水乾→バラに広げて静置→締め炒りである。炒り葉の釜の温度は300℃以上で,茶葉がしんなりとなると扇風機を使って一気に蒸気を逃がすところは『茶箋』の製法に酷似している。揉捻後は乾くまで炒ると完成であるが,これは17世紀末の『農業全書』の製法と同じである。

    資料によると,嬉野製は生葉の炒りが重量減で30~35%とされ,茶の品質は形状が丸形で珠状となり,色沢は黄緑色,水色は金色濃厚とされる。

    現在では佐賀県や長崎県に傾斜釜が存在することからすると,中世に伝来したのは傾斜釜であったと推察するのが妥当であろう。傾斜釜を用いる釜炒り茶の製法は中国茶のイギリスへの輸出増加に伴う,つまり「輸出用のため量産能率本位」と説明する史料もあるが,輸出が増加する以前の『農業全書』に既に傾斜釜の製法があること,また製造時間を要することから「労力軽減」と考えた方が妥当である。

    乾燥道具を用いる製法もあった。焙炉を使用する製法は実演会等でも見ることができるが,茶焙炉を用いる製法については嬉野で聞くことができないのは,その後の機械製茶で消滅したと推察する。

    また,傾斜釜の嬉野製は熊本県内や宮崎県内でも導入された痕跡もみられるが,その後に訪れた機械製茶によって傾斜釜は直ちに姿を消し,今日では両県には傾斜釜を用いる釜炒り茶は無かったものと認識されていると考える。

  • 坂本 孝義
    茶業研究報告
    2018年 2018 巻 125 号 1-6
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

    静岡県出身で且つ宮崎県において茶の試験研究の経験を持つ森薗市二氏は,釜炒り茶のことを正しく把握している一人と考えられる。氏の資料によると,「佐賀,長崎を中心とする嬉野製と,熊本,宮崎を中心とする青柳製は,当時は上流階層の飲料に供する上級茶で,一般庶民の飲用する釜炒り番茶類は,九州,四国,中国各地方で,広くつくられていた」16) という記載もある。釜炒り茶と呼ばれる茶には嬉野製や青柳製と呼ばれる緑茶に分類される釜炒り茶と,番茶に分類される釜炒り日干し茶が存在していたことが伺え,しかも一般的には,これらは区別されていなかったようだ。しかし,江戸時代末期から明治時代にかけて茶の輸出が盛んになり,外貨獲得のための商品として茶が脚光を集めると,釜炒り日干し茶が日本茶の評価を悪くするという理由で禁止されるが,釜炒り日干し茶が釜炒り茶と誤認されていたためか釜炒り茶が禁止されてしまう。その一方で,釜炒り茶の製造の際に効率良く乾燥するための乾燥用道具が考案・導入された。乾燥用の道具としては茶焙炉,室,印度焙炉があった。

    日本茶の大半は蒸し製であり,蒸し製は摘採時期や選別方法の違いから煎茶,番茶というように分類される。一方で,釜炒り茶は今日では九州の一部の地域で生産されている茶であり,しかも生産量も少ないが故に品質格差を無視して適正に評価されていないことがあると考える。番茶とみなされる釜炒り茶は,日干し製法という製法も含めて釜炒り茶と定義されてしまうことで適正に評価されない一因と考える。

  • 添加茶判別指標からみた問題点
    中川 致之, 森藤 富士雄, 陳 風雷, 橋本 実千代, 山下 太市, 氏原 ともみ
    茶業研究報告
    2002年 2002 巻 93 号 39-46
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    添加茶判別時の指標とされるNa+濃度の測定値について,静岡県,鹿児島県,愛知県で生産された茶芽及び煎茶を試料とし,海岸からの距離を視点にした調査を行った結果,以下のような知見が得られた。
    (1) 静岡県の沿岸部,中間部,山間部で生産される茶芽のNa+濃度の間には,統計的に有意差が認められた。
    (2) 沿岸部で生産される茶芽では,添加茶の指標とされるNa+濃度を超えているものが見受けられた。
    (3) 鹿児島県産煎茶のNa+濃度についても,静岡県の茶芽と同様に,沿岸部,離島のものは高く,山間部のものは低い傾向があり,種子島産の煎茶では指標値を超えているものがあった。
    (4) 従って,沿岸部で生産される茶については,添加の有無をNa+の測定により判別することは不可能であり,グルタミン酸とテアニンの比率など,他の観点による判断が必要であると考えられる。
    (5) 茶芽中のNa+濃度は,降雨により著しく低下することが認められ,Na+濃度が高い原因は海水の飛沫の付着によると推測された。
    (6) 茶園土壌のナトリウム含有量については,海岸からの距離による差は認められなかった。
  • 吉冨 均
    茶業研究報告
    2002年 2002 巻 93 号 70-90
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶品評会の集計作業を効率的に行なうプログラムを開発した。開発したプログラムは,効率的なデータ入力,順位付け,任意の書式での印刷機能を持ち,あらゆる形式の品評会に柔軟に対応できる。
  • 新井 祥穂
    人文地理
    2016年 68 巻 2 号 211-227
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    日本の茶産地は1970年代後半以降,長期的な需要低迷に見舞われている。本稿の目的は,高品質の茶を生産することで知られる狭山茶産地における,製茶農家の技術構成の現局面と,それによる地域の茶生産組織の変容を,生産力と生産組織の枠組みで分析することである。摘採過程や製茶部門の機械化に代表される,茶の労働手段の連鎖的な高度化は,狭山茶産地においてもピーク労働の負荷を軽減し,経営規模拡大を実現させてきた。しかしながら全国的に緑茶需要減退が長期化する中で,1990年代以降,製茶農家らは二つのタイプに分化している。その第一は,製茶機械の巨大化により高い生産力を追求し,それに対応するため組合組織を設立した生産者らであり,第二が,革新的な労働手段の導入を断念し,茶作部門・製茶部門の双方で技術の向上を個別に追求する,自園自製自販型生産者である。生産者の大宗をなす後者は,彼らの規模拡大を実現してきた生葉農家からの買葉を減少させ,求める品質の実現を図っており,生産組織としては自己完結化に向かっている。

  • 武田 善行
    茶業研究報告
    2007年 2007 巻 103 号 1-39
    発行日: 2007/06/30
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
feedback
Top