水晶発振子を溶液中で用いる場合,液温や液性及び水晶発振子上に付着する物質量によって
振動数
が変化するので,一つの水晶発振子によって液温及び液性の変化に伴う
振動数
変化を追随し,もう一つの機能性膜を付けた水晶発振子と組にして用いることにより,溶液中の微量成分を液温や液性の影響を受けずに定量することができる.このために,片面に金電極が蒸着された水晶振動子2枚を,その水晶板面のみが溶液に接するように間隔を持たせて平行に設置した双型水晶発振子を開発し,液体に接触させたときの
振動数
特性を検討した.双型水晶発振子は水晶板に接した溶液の特性によってその
振動数
を変え,又水晶板に物質が付着すると
振動数
が変化し,その
振動数
特性は従来の片面電極分離型水晶発振子と同様であった.従って,双型水晶発振子は液性に対してのセンサーとしてだけでなく,従来の水晶発振子と同様に重みセンサーとしても利用できる.又,双型水晶発振子のそれぞれの水晶振動子が安定に発振するので,一方の水晶振動子に機能性膜を塗布して定量しようとする物質のみが付着するようにすれば,他方により液温及び液性による
振動数
変化を相殺することができるので,測定条件の変動する状態での定量分析が可能である.
抄録全体を表示