1991年2月,新潟大学歯学部附属病院(現
新潟大学医歯学総合病院
(歯科))口蓋裂診療班運営委員会が発足して15年が経過した.当病院診療班では,患者登録患者動向調査,合同診察・合同症例検討会,共通診察手帳の作成,母親・保護者教室の開催,メイク指導の開催などの活動を行ってきた.そこで,今後における活動の方向性を探ることを目的にこれまでの活動について評価,検討した.
登録患者数は,2006年6月末現在1,043名であった.その内訳は,一次症例764名,二次症例279名であった.登録患者数を年度ごとにみると,1993年度から2005年度の平均が45名であった.
合同診察・合同症例検討会を計63症例について行った.委員会発足後5年以内が46症例であり,2001年以降,1症例/年であった.
母親・保護者教室を年3回(計23回)開催してきた.
2001年4月からは病院内でメイク指導を開始し,口唇裂口蓋裂者32名が受講した.メイク指導後のアンケート結果から病院内で行うメイク指導に賛成していたことが示され,ほとんどの受講者がメイク指導後に気持ちが明るくなったことを実感していたことから,病院内で行うメイク指導の有用性が示唆された.
以上のように,口蓋裂診療班がこれまで行ってきた活動を検討した結果,発足当初は病院内における治療体系の統一を図り,それと院内に周知することが主な活動であったが,2000年ごろからは,患者ならびに家族の精神的支援についての活動が増加していた.
今後は,大学病院という枠を越え,新潟県,北陸地区の拠点の一つとして,患者の診療ならびに患者とその家族を精神的に支援することを拡充するべく活動を行っていく必要があると考える.
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