目的:
日本航空
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便墜落事故
で行われた看護を,遺体の検案,処置,身元確認に焦点を当てて,明らかにすることである.
方法:歴史研究.この事故において遺体の検案,処置,身元確認,遺族へのケアに携わった関係機関の報告書,関係者の文献,遺族の手記を対象とした.
結果:検案には県,医師会,日本赤十字社の看護職が活動した.看護職は遺体を探す遺族を支援し,損傷した遺体を綿花や新聞紙,段ボールを用いて整復した.身元が確認された遺体に家族が用意した着物を着せ,品物を棺に納めた.活動に参加した看護婦のなかには,数か月,数年経っても,その時の光景や感情がフラッシュバックし,食欲不振や不眠などの症状を呈する人がいた.
結論:看護職は損傷の激しい遺体の処置を通じて,死者の尊厳を守り,遺族の支援を行った.整体は,過酷な状況で死別を経験する人々を支援するため,看護の基本に基づき創発された実践の一つであった.
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