ビーグル犬を用い, 前明順応後の
暗順応過程および暗順応
後に幾つかの条件下で記録したERG波形に含まれる, 桿体系成分と錐体系成分について検討を行った.
暗順応
開始後青色検査光を用いてERGを記録すると, 13分後から角膜陽性のb波が出現して次第にその振幅を増し, 61分後にはほぼプラトーに達した. このb波は, 分光感度測定の結果から桿体系由来の scotopic b波と考えられた. また約31分後からは律動様小波およびb波に先行する角膜陰性の小波が出現した. 検査光に赤色光を用いると,
暗順応
開始直後から潜時が短く振幅の小さなb波が出現し, 振幅はすぐにプラトーに達したが, ほぼ19分頃から scotopic b波を始めとする桿体系成分が出現するとともに不明瞭となった. 2時間の
暗順応
後に赤色光刺激で記録されるERGでは, ヒトやサルと異なり錐体系成分は明瞭に識別されず, その波形は青色光刺激にて記録した波形と殆ど同じ形を示した.
暗順応
開始直後から認められたb波は, その振幅や潜時, 背景光下における記録の結果などから, 錐体系由来の photopic b波と考えられた. Photopic b波の振幅は scotopic b波に比較してかなり小さく, 頂点潜時が scotopic b波に先行する陰性波の潜時と殆ど一致するため,
暗順応
後に赤色光で誘発されるERG波形には, 錐体系の成分は含まれているものの明瞭には観察されないものと考えられた.
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