市販の脂肪酸エステルは, 一般的に, ジエステルや未反応のポリエチレングリコール (PEG) などの混合物である。市販品のデカオキシエチレングリコールドデカン酸エステル (C
11EO
10 (E)) と市販品のデカオキシエチレンドデシルエーテル (C
12EO
10) の水, 及び水-油への相挙動を比較した。その結果, C
11EO
10 (E) は水との2成分系で全濃度において, 液晶を形成しなかった。両界面活性剤の平均EO鎖長は同じであるが,
曇点
はC
12EO
10が89℃, C
11EO
10 (E) が46℃と大きな差がある。界面活性剤低濃度では, PEGの水に対する濃度が薄くなり, C
11EO
10 (E) -水系の相挙動に対するPEGの影響はほとんどない。高濃度水溶液では, PEGは水に濃縮されるため液晶形成が阻害されると考えられる。一方, 低い
曇点
はジエステルが存在するためである。油としてm-キシレン, シクロヘキサン, デカンを加えると, HLB温度は両者ともほぼ一致した。ジエステルが油に溶解することにより, 会合体中のモノエステルの含量が増し, HLB温度は高濃度側に移行する。これが両界面活性剤系においてHLB温度がほぼ等しくなる原因である。
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