光散乱法を用いて, 高分子物理ゲルのゲル状態とゾル状態での微視的構造不均一性の変化を調べた. 試料には, 約45℃でゾルーゲル相転移を示す, ポリビニルアルコールとコンゴーレッドからなる物理架橋ゲルを用いた. 散乱強度の変化により構造不均一性を議論した結果, ゲルでの散乱強度のスペックルパターンはゾルに比べて, その揺らぎの振幅が著しく大きく, 構造不均一性が増していることがわかった. ゲルとゾルは同濃度の試料であり, また架橋点の形成が可逆的な平衡反応であることから, この散乱強度の増大は架橋密度の空間分布の粗密によるものではなく, 架橋点の形成による構造凍結 (制限エルゴード性の導入) によってもたらされることが明らかとなった.
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