【目的】上部尿路結石に尿管鏡手術を行う際, 初回はアクセス不良で砕石できない例 (TUL trial) が時に認められる. この場合ステント留置のみで終了し改めてTULを行う. Trialとなる率, その要因について検討した.
【対象と方法】2010年2月から2018年4月の間, ステント等の前治療のない腎・尿管結石845例に対してTULを試みた. これらを対象に尿管アクセスの可否を後方視的に検討した.
【結果】TUL trialとなる率は9.9% (84/845) であった. 年齢, 性別, 身長, 体重, BMIによる差はなかった. 多重ロジスティック回帰分析では, 腎>上部尿管>中下部尿管, 長径小, 結石既往歴なし, 中-高度の水腎症, 緊急手術がtrialとなる独立した危険因子であった. Trialとなった後, 再TULでの完全排石率は84.6% (55/65) と高かった.
【結論】TULに際しては, 時に尿管アクセス不良例に遭遇しうる. 今回の結果は, 砕石不能で2回目の手術が必要な場合があることを患者へ術前に説明しておく重要性を改めて示した.
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