Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新しいCephem系の注射用抗生物質である。
本剤は7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazolylcarboxypropyl oxyimino基を, 又, 3位側鎖にPyridineを導入し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して安定である。本剤は広域の抗菌スペクトルを有し, なかでも
Pseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌,
Serratiaなどに対し強い抗菌力を示すことが特徴としてあげられる。
本剤は開発以来, 本邦をはじめ世界各国で多くの検討がなされその価値が認められている1, 2)。本邦では, 1982年第30回日本化学療法学会総会新薬シンポジウムにおいて本剤の評価成績が報告され3), その有用性が認められ, われわれもこれを報告した4, 5)。
近年重要視されている周産期医学では, 胎児, 新生児を中心として妊娠末期の母体や新生児について広く研究が行われているが, この時期における感染症, 化学療法についても研究が広く行われている6, 7)。
CAZは抗菌力や体内動態, 副作用等の特性からみて周産期において選択されるべき抗生物質としての諸条件を備えていると考えられるので, 今回, CAZ周産期感染症研究会が組織され研究が行われた。われわれも上記の観点から研究会に参加し, 以下の知見を得たので報告する。
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