本論文では, 最小絶対誤差にもとづくファジィc-回帰分析のアルゴリズムを提案し, その理論的性質を主に調べる.最小絶対誤差による回帰分析は, 古い歴史をもち, 通常の最小2乗法よりも使われる頻度は少ないが, 最近まで研究されてきた.ここでは, 最小絶対誤差規範を最小2乗規範の代わりに用いたファジィc-回帰のための目的関数を考察し, ファジィc-回帰の繰り返し計算における回帰式の導出を線形計画法によって行う方法を示す.この際, 通常のファジィc-回帰型の目的関数だけでなく, エントロピー型の目的関数もあわせて考察する.通常のc-平均法やc-回帰では, 解の収束性に関する理論的性質は明らかではないが, 絶対誤差の場合, 繰り返し計算は有限回の反復の後収束することが示される.さらに, クラスタリングの結果生じるファジィ分類関数の性質を調べる.数値例によって本方法の有効性を示す.
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