症例は47歳,男性.昭和42年左大腿骨骨折手術時,輸血歴あり.平成5年検診でHCV抗体陽性を指摘され,平成6年8月精査加療目的にて当科に入院した.腹部US,CTでは,肝左葉は腫大し,肝右葉は描出されず,胆嚢は右腹壁に偏位していた.腹部血管造影では,門脈右枝及び右肝動脈は描出されなかった.腹腔鏡では,肝左葉外側区が右側中央部まで腫大し,方形葉が右腹壁に接し,胆嚢も右腹壁に接していた.肝表面は,島田分類200番地で,peliosisを認めた.肝生検組織では,慢性肝炎非活動型であった.以上から肝右葉欠損症にC型肝炎を合併したと考えられた.肝右葉欠損症は稀であり,非侵襲的画像診断の発達に伴って報告例が増加するものと考えられた.
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