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クエリ検索: "林森北路"
6件中 1-6の結果を表示しています
  • *須崎 成二
    日本地理学会発表要旨集
    2025年 2025s 巻 904
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
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    1.はじめに

     都市においてゲイビジネスやレズビアンビジネスの集中がみられる地区は同性愛地区(gay district)と呼ばれる.今日の同性愛と都市をめぐる議論においては,同性愛地区がいかなる要因によって存続するか,あるいはしないかに焦点が当てられている.その点で,2020年代前半に世界的に発生した新型コロナウイルス感染拡大は,バーやクラブを中心とするゲイビジネスやレズビアンビジネスの経営,ひいては同性愛地区の存続を脅かす事象であったと考えられる.各国が同ウイルスの感染対策に苦慮するなか,台湾については特に2020年の感染対策が成功したと評価されている.

     そこで,本研究では台湾最大の都市である台北市を対象として,コロナ禍においてゲイビジネスおよびレズビアンビジネスがいかに経営を維持させたのかを明らかにすることを目的とする.対象地域である台北市において,ゲイビジネスが集中するのは西門紅楼広場周辺および

    林森北路
    地区である.両者はどちらも繁華街的な性格を有しており,西門紅楼広場が位置する西門町は若年層向けの商業施設が建ち並ぶ観光地にもなっている.本研究では,衛生福利部疾病管制署のウェブサイトにて公開された行政の感染拡大防止に関する政策の内容を収集した.加えて,台北市内のゲイビジネスおよびレズビアンビジネス経営者に対し,コロナ禍前後の店舗経営についてインタビュー調査を行った.

    2.行政による規制と支援

     台湾では2021年5月に感染者が急激に増加したことを受けて,台湾政府は5月11日に全国を対象に警戒レベル2を,同月15日には台北市・新北市のみに警戒レベル3を発令し,同月19日には警戒レベル3の対象地域を全国に拡大させた.レベル3の下では飲食店での店内飲食が禁止され,テイクアウトのみが許可された.また,娯楽施設は閉鎖された.台湾のこれらの措置は拘束力を持つ規制であり,日本の「要請」とは異なる.これらの措置は7月27日に警戒レベルが2に引き下がるまで続いた.ただし,バーやクラブは警戒レベル2の引き下げ以降も感染拡大の恐れがある施設として営業停止が継続された.規制が継続する中で厳しい経営状況にある飲食店や娯楽施設に対して,2021年6月に経済部は正規雇用の社員一人当たり4万台湾ドル(約19万円)の支援金支給を開始した.ただし,台湾政府からの支援金は限定的であり,アルバイト従業員はこの支援金の対象外であった.

    3.経営戦略

     金銭面においては,政府の支援金を活用するほか,一部の経営者は大家と交渉しテナント料を減額させていた.また,ゲイビジネスが集中している西門紅楼広場は政府所有の土地であるためテナント料が比較的安く,このことは経営者の金銭的な負担を軽減させた.ただし,政府の支援金が十分ではなかったと感じる一部の経営者は,アルバイトを含めた従業員への給与を自費で負担せざるを得なかった.金銭面以外では,経営者同士の情報共有があげられた.ゲイビジネスおよびレズビアンビジネスを中心とする組織がない台北では,主に個人間のつながりに依存して政府からの支援や営業に関する情報を共有していた.また,顧客との継続的なつながりを維持するため,営業停止期間にオンラインツールを用いてライブ配信を行う経営者もいた.

    4.考察

     ゲイビジネスやレズビアンビジネスにおける経営戦略は自助的な側面が強い.その背景には,政府からの金銭的な支援が限定的であったことも関係している.ただし,政府所有地にゲイビジネスが集中していることは偶発的ではあるにせよ,店舗の存続にとって有利に働いている.

  • *熊谷 美咲, 山下 書子, 姚 矞馨, 池田 真利子
    日本地理学会発表要旨集
    2021年 2021a 巻 233
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
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    Ⅰ はじめに

    言語景観の国内研究は地理学と社会言語学を中心に行われきた.海外における日本語話者向け言語表記に関しては,韓国の日本人居住区での言語景観の特性を明らかにした磯野(2012)や海外観光地における多言語表記の中の日本語を扱った高ほか(2015)が挙げられる.しかし,既往研究では,夜の街において日本人を対象とした言語景観は注目されてこなかった.本研究は,台湾台北市旧大正町(現,台北市中山区)を対象に,夜の街における言語景観の特徴を明らかにすることを目的とする.日本統治時代,台湾総督府が置かれた台北には,行政機関が集積し,その周辺には日本人官僚を対象とした居住地が形成された.本発表の対象地域である旧大正町は,日本人移住者の増加に伴い「大正街」という地理名称で日本人専用の高級住宅街として整備された地域である(陳2011).当該地域周辺には第二次世界大戦後からベトナム戦争期にかけて,アメリカ大使館や米軍駐屯地が置かれたことから,旧大正町は商業地や米軍向けの保養地,そして消費空間へと変化した(鄭2002).米軍撤退後の1970年前後には,日本人観光客や日本人ビジネスマンが増加し,当該地域は,彼らを対象とした歓楽街へと変容した.現在も,大正町一体には,日本式ナイトライフアメニティであると理解される居酒屋や日本料理店等の飲食店が集まる.

    Ⅱ 調査方法

     まず,日本統治時代から戦後にかけての大正町の歴史的変遷について文献調査を行い,その後,現在の言語景観の調査を実施した.旧大正町の

    林森北路
    (159,145,138,119,85,67)および中山北路1段(135,121,105,83,53,33),計14通り518件の看板言語・表記を対象とし,2021年5〜7月にGoogle Street Viewを用いてオンライン調査を実施した.なお,画像識別の可能な看板に対象を限定し,看板以外の表記や判読不能な店舗名等の情報は対象から除外した.また,ウェブサイトやSNS等のオンライン情報に基づき,店舗種類や営業時間等を調査した.なお,本研究の予備調査とそれに基づく結果は山下ほか(2021)の通りであるが,本調査はその後,旧大正町における夜の街としての特徴に注目し,それに関し追加調査を行った点に新規性がある.

    Ⅲ 旧大正町にみる夜の街の言語景観

     深夜営業(午前0時から午前6時までの営業)が確認された店は,調査対象とした全518件中159件(約31%)あり,業種別でみるとバー・スナック・ラウンジ85件,レストラン20件,居酒屋14件,キャバクラ11件,マッサージ店7件,パブ5件,クラブ・カラオケが各3件であった.これらの店の看板で使用される言語種は英語91件(約35%),中国語53件(約20%),日本語47件(約18%),フランス語9件(約3%),スペイン語7件(約3%),韓国語6件(約2%),その他イタリア語,ラテン語,ハワイ語等が確認された.また,表記はアルファベット121件(約40%),漢字83件(約27%),カタカナ43件(約14%),数字34件(約11%),ひらがな17件(約6%),ハングル6件(2%)の順に並ぶ.全516件の店の看板における言語種・表記は,中国語262件(約31%)と漢字表記383件(約39%)が最多であるのに対し,深夜営業を行う店の看板の言語種・表記は,英語やアルファベット表記が優勢であるといえる.また,欧米言語のカタカナ表記も散見され(例えばVenusヴィーナスやTopaz トパーズ),日本語話者が対象と推測されるこれらの看板は,当該地域の夜の街の言語景観を特徴的なものとしている.以上から,夜の街では日本語話者に向けられていながら英語等の外国語が使用されていると推測される.

     発表当日は,看板に記載される言葉の意味や使われ方に関する質的分析の結果を報告するとともに,看板の色や文字の大きさ,配置などの視覚的な側面に着目し調査を進める.

    文献

    磯野英治 2012.言語景観から読み解く多民族社会:韓国ソウル特別市における外国人居住地域からの分析.日本語研究32: 191-205.

    高 民定,温琳,藤田依久子 2015.韓国済州島における言語景観—観光と言語の観点から.千葉大学人文社会科学研究30: 1-23.

    鄭 良一 2002.台北シーンの変遷https://www.hilife.or.jp/pdf/20026.pdf(最終閲覧:2021年7月23日)

    山下書子,瞿 芳馨,熊谷美咲 2021.台北市「大正町」エリアの言語景観に見る日本統治時代の歴史.地理空間学会.

    陳 正哲 2011.鐵道設站與住宅區開發—台灣建設史之規劃思想研究.環境與藝術學刊10: 91-106.

  • 高橋 正美
    ドクメンテーション研究
    1983年 33 巻 2 号 98-102
    発行日: 1983/02/01
    公開日: 2017/10/05
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • ―言葉を超越した視覚的体験―
    李 癸雲, 赤松 美和子
    人間生活文化研究
    2024年 2024 巻 34 号 567-576
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー

     女性詩人の夏宇(1956-)は台湾の現代詩壇で最も実験的で,カテゴリー化するのが難しい詩人の一人であり,初めての詩集『備忘録』(1984)から一貫して詩の可能性に挑み続けている.すべての詩集で驚くべきオリジナル性を発揮し,言葉を挑発し,スタイルを破壊し,ポストモダニズムおよびフェミニズムの代表的な詩人だと見なされてきた.台湾詩の学術界では夏宇についての豊富な研究の蓄積がある.本稿は新たな研究の視角を展開すべく,夏宇の近年(2010-2020)の作品における越境する鮮烈な視覚体験の美学について論じる.歌詞集『這隻斑馬/This Zebra(このシマウマ)』(2010)は,カラー版『那隻斑馬/That Zebra (あのシマウマ)』と同時に刊行された.これはページの真ん中を切断してページが上下に分かれているため,上下それぞれのページの歌詞を自由に組み合わせて読むことができる.装幀の色はカラフルで,本全体が街の雑然とした店の看板のようで,「退廃的な音楽」のように市場性に呼応している.『第一人称/First Person』(2016)は301行の長い詩を収録し,400枚余りの撮影作品を組み合わせ,「影像詩」集の概念を実践している.撮影はすべて夏宇によるもので,下には詩が添えられ,全体が映画のスクリーンのようにデザインされており,写真の下の詩は中国語の字幕,さらに英語の字幕が付されており,読者に映画鑑賞を想像させる.『脊椎之軸(脊椎の軸)』(2020)は世界ハイキングツアーについて書いたもので,あとがきを除いて,インクも使わず真っ白で,エンボス加工により文字や絵を浮き彫りにし,当時,荒野を彷徨った痕跡を再現しようとしている.何もない,「白紙」の詩集ともいえる.

     本論では,夏宇の詩の言語の視覚的探求についての詳細な考察のみならず,台湾現代詩「図像詩」美学伝統の現代の様相についても補完したいと考えている.これまで,「図像詩」の実験では,言葉の組み合わせやレイアウトが中心とされてきた.現在,「変わり続ける」女性詩人夏宇は,詩に言葉やイメージを超えた,より多様な視覚体験を探求し続けている.

  • ―その誕生から外資系進出後までの段階を中心に―
    鍾 淑玲
    マーケティング史研究
    2025年 4 巻 1 号 16-35
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル オープンアクセス

     本稿は,台湾におけるスーパーマーケット(食品スーパー)の発展プロセスを歴史的視点から段階的に考察し,その特徴と影響要因を明らかにするものである。まず,1963年から1980年代前半にかけての導入期を三つの段階に分けて分析し,次に1980年代後半の外資系企業の進出による発展期を日系および香港系企業の事例に分けて考察する。また,2000年以降に台湾市場に残った日系と香港系スーパーマーケットの実態と現状を明らかにする。台湾スーパーマーケットの形成と発展には,商業資本や政府による流通近代化,食品メーカーの垂直統合,農産物卸業や商業資本の多角化,外資系企業の進出,現地企業によるイノベーションといった多様な要因が絡み合っている。さらに,経済水準と教育水準の向上によるスーパーマーケット利用人口の増加や伝統市場の減少も重要な背景である。これらの要素が複雑に交錯する中で,台湾スーパーマーケットの発展が成し遂げられたことを明らかにした。

  • 建物の価値基準,計画制度,運用体制,実態の視点から
    脇坂 圭一, 土屋 和男
    住総研研究論文集・実践研究報告集
    2025年 51 巻 213-224
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    台湾の商店街の街路沿いに見られる公共用歩廊である亭仔脚に着目し,1)歴史的景観と経済活動・都市開発との両立,2)歴史的建造物の活用による住民・市民の意識,3)容積移転制度と都市再生前進基地の運用,4) 亭仔脚の使われ方の実態を調査し,台湾における取り組みから日本の防火建築帯,防災建築街区の更新に向けた示唆を得ることを目的とした。結論として,亭仔脚の現代的価値を明らかにすると共に,制度の柔軟性,市民の意見を施策に反映する仕組み等を見いだした。一方で,ジェントリフィケーション,オーセンティシティ等の問題があることが明らかになった。
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