本研究の目的は, 口腔内の揮発性硫黄化合物 (VSC) の濃度を測定する口臭測定器ブレストロン
® (ヨシダ, 東京, 以下ブレストロン) の有用性を検討することである。被験者は, 日本歯科大学新潟歯学部附属病院いき息さわやか外来を受診した患者52名に対して行った。われわれは, ブレストロン値と官能試験およびその他の口臭測定器による測定値とを比較検討し, さらに, ブレストロン値と口腔内状態の関連についても検討した。口臭は官能試験によって評価し, ブレストロンとその他の口臭測定器を用いて数値化した。その他の口臭測定器には, ガスクロマトグラフィとHalimeter RH-17
® (Interscan Co., Cal. USA, 以下ハリメーター) を使用した。また, 同時に口腔内状態 (Plaque Control Record (PCR), Plaque Index (PlI), Probing Depth (PD), Bleeding on Probing (BOP), 舌苔付着度) を診査した。その結果,
(1) ブレストロンによる測定値は, 官能試験とガスクロマトグラフィならびにハリメーターの測定値との間に相関が得られた。そして, ガスクロマトグラフィで測定したVSCのうち硫化水素, メチルメルカプタンとの間にも有意な相関が得られた。しかし, ブレストロンの測定値には若干のばらつきが認められ, 官能試験に対して必ずしも一致するとはかぎらなかった。したがって, ブレストロンはチェアサイドにおいて有効な口臭測定器であると考えられるが, 官能試験との併用が必要と考えられた。
(2) ブレストロンによる測定値と口腔内状態の関連では, プラークと舌苔付着度において有意な相関が得られた。
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