本報では, 開発途上国の転換畑で土壌水分減少法を適用して, 最大収量を得る灌水開始点を判定する方法を検討した. まず, 7作物を3つの異なる灌水開始点で栽培して, 灌水開始点と収量, 消費水量, 有効土層厚および表層の水分消費率の関係を分析した. 次に, 各作物で最も収量の多かった試験区の日消費水量と計器蒸発量の比率 (消費水量比) を求め, その土中水の減少に伴う低減動向を回帰分析した. その結果,(1) 制限土層の消費水量を基に低減動向を分析すること,(2) 消費水量比が緩やかに低減して限界水分点以降は急に減退する場合は, 限界水分点を灌水開始点とすること, および (3) 消費水量比が次第に低減して限界水分点以降は低減がゼロに近くなる場合は, 乾燥による減収度を分析した上で, 他の制約要因をもとに灌水開始点を設定することの, 3つを提言した.
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