テイラピア,
Oreochromis niloticusによるアオコの回収とその除去効果を明らかにするため, 供試魚を収容した実験装置に植物プランクトン繁殖水を連続注入しながら飼育し, 注排水中のChl-a量及び排フン量と成長を測定し, 植物プランクトンの摂食量とそのN, P収支について検討した。
1) 日間排フン量 (f) は供試魚の体重 (w) が大きくなるに連れて減少し, 日間増重量 (g) は日間排フン量が多くなるに従って次第に高くなる傾向を示し, これらの間には99%の有意水準で, f=56.835W
-0, 464 (r=-0.849) …1, g=0.393f
1.127 (r=0.764) …2の関係が認められた。
2) 体重と排フン量及び排フン量と摂食量の間には前者で95%, 後者で99%の有意水準でf=32.100W
-0.296 (r=-0.619) …3, 1=2.755f
0.855 (r=0.881) …4の関係が認められた。
3) 関係式 (1, 4) を展開することによって体重と摂食量の間に1=87.155W
-0.397の関係式が得られ, 体重10-300gの魚はkg当たり乾燥重量で一日に3.5-0.9%に相当する植物プランクトンを摂食するのが認められた。
4) 摂食された植物プランクトン中のN, Pが増量に回る割合はそれぞれ10.1-15.5%, 25.5-38.0%, フンとして排出される割合は28.0-35.2%, 30.9-37.6%, 維持・活動に利用された後, エラ組織などからNH
4-Nや尿素として排出される割合は49.3-61.9%, 24.4-43.6%となっていた。
5) 増量とフンの採取による魚1kg当たり一日のN, Pの回収量は, それぞれ0.188-0.964g/kg・day, 0.031-0.161g/kg・dayとなった。
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