ヒメサユリの暖地における周年栽培法を確立するため, 長期低温貯蔵による抑制栽培, 暖地で早掘りしたりん茎の冷蔵処理による早期促成栽培, および自然低温を利用した後期促成栽培について検討した.
抑制栽培では, りん茎を12月下旬から0°Cで貯蔵し6月下旬から搬出•植え付けを開始して, 7月中旬から12月下旬まで順次に開花させることができた. 夏期の高温期には, 到花日数の短縮と, これに伴う植物体の矮小化やブラスチングの発生が多くなったっが, 昼温25°C夜温15°Cの冷房室で栽培することによりこのような高温による障害は防止され, 切り花の品質が向上した.
早期促成栽培では9月中旬に早掘りしたりん茎を, 13°C2週間の予冷後0°C12週間の本冷を行うことにより, 2月上旬から開花させることができた. この場合は, 本冷開始時期の花芽分化段階は内花被形成期が適当で, 予冷は花芽分化を促進させる効果が高かった.
後期促成栽培では, 植え付けたりん茎を2月下旬まで自然低温に遭遇させ, それ以降温室への搬入日を順次遅らせることにより, 4月上旬から自然開花期まで連続的に開花させることができた.
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