東京, 田島, 札幌で採取した降雪試料から低分子ジカルボン酸など水溶性有機物を分離しキャピラリーガスクロマトグラフにて測定した.また, 一部の試料について全有機態炭素 (TOC), 溶存有機態炭素 (DOC), および, 主要な陽イオン・陰イオンについても測定した。雪試料中に炭素数が2からllの低分子ジカルボン酸 (27~222μg/kg) を検出した.また, ケトカルボン酸 (C
2-C
6, 9.4~103μg/kg), ジカルボニル (C
2-C
3, 5~68μg/kg) についても比較的高い濃度で検出した.すべての試料において炭素数の最も少ないジカルボン酸であるシュウ酸が最も高い濃度を示すことがわかった.更に, 分子の末端にアルデヒド基を持つオメガオキソカルボン酸の場合も炭素数の最も少ないグリオギザール酸が優位を示すことが明らかとなった.これら低分子化合物は非海塩性硫酸と強い正の相関を示すが, カルシウムとは負の相関を示すことが示された.一方, TOCは1.1~12.1mgC/kg, DOCは1, 0~10.7mgC/kgの濃度範囲で検出された.DOCはTOCの52~94%を占め, 降雪中の有機物の大部分が水溶性であることが明らかとなった.
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