1979年∼1995年の17年間に大阪空港および関西空港から入国した
海外旅行
者は36,780,440名であり, 検疫時に下痢の申告をした者は84,777名 (0.23%) であった。そのうち29,587名について検便を行い9,766名 (33.0%) の患者から下痢原因菌が検出された。その内訳はプレシオモナス3,234名, サルモネラ2,236名, 毒素原性大腸菌1,621名, 腸炎ビブリオ1,959名, 赤痢菌1,242名の順であった。これらの赤痢患者から2菌型同時検出例を含めると1,278株の赤痢菌が検出され, その症例について, 推定感染国, 検出菌の血清型 (
Shigella sonnei についてはコリシン型も実施) および薬剤感受性について解析した。推定感染国別にみた患者数はインドが最も多く, 53.4%を占めた。検出された菌株の亜群は
S. sonnei (57.8%) が最も多く,
S. flexneri (29.8%),
S. boydii (8.4%),
S. dysenteriae (4.0%) の順であった。
S. sonnei のコリシン型は6型と0型が多く, 両者で73.6%を占めた。薬剤に対する耐性率は,
S. dysenteriae 92.2%,
S. sonnei 89.4%,
S. flexneri 87.1%,
S. boydii 84.9%といずれも高率であり, とくに
S. flexneri の耐性率に経時的な上昇が目立った。
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