本論文は,
演奏
表情の自動生成について論じたものである.
演奏
表情とは, 音楽
演奏
中に見られるテンポや音の強さの楽譜からのずれのことで, 自然な音楽
演奏
には必要不可欠な要素である.しかし,
演奏
者の音楽知識に強く依存し, また
演奏
時の状況などに応じて多様に変化するため, 適切な
演奏
表情を自動的に生成することは困難である.本論文では,
演奏
表情を計算機により自動生成する手法として事例に基づく
演奏
表情の自動生成手法を提案している.この手法は,
演奏対象曲の情報と与えたい演奏
表情の特徴情報を入力すると, あらかじめ用意した人間による
演奏データ集の中から対象曲に類似した曲の演奏
事例を検索し, それらに見られる
演奏
表情を対象曲に応用することで対象曲の自然な
演奏
データを生成するというものである.提案手法は,
演奏の雰囲気や演奏
時の状況などの設定を入力として付与することができ, これらを考慮することで単一の楽曲に対して種類の異なる複数の
演奏
表情を容易に生成できるという特徴を持つ.提案手法を実装したシステムを構築し, システムが生成した
演奏
表情を評価した結果, 提案手法が人間のような自然な
演奏
表情の生成が可能であり, 多様な
演奏
表情を適切に生成できることが確認された.論文中ではこの他に, 旋律の類似性の評価手法や
演奏表情の分析手法など演奏
表情の生成に関連した4つの要素技術を提案するとともに,
演奏
表情生成手法の応用として自動伴奏システムへの導入についても検討している.
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