新しく開発された経口抗菌剤Pyridonecarboxylic acid誘導体AT-2266を難治性, 抗療性の複雑性尿路感染症に使用し, その有効性と安全性を検討した。今回の対象症例25例は, いずれも尿路に基疾患を有し, 手術後2カ月以上にわたり各種化学療法剤の継続投与にもかかわらず, 膿尿, 細菌尿が持続する難治例であるため, AT-2266錠600mg (食後3回) を14日間経口投与した。UTI薬効評価基準では5日間投与後の効果判定が原則であるが, 臨床上では月余にわたる化学療法を行わざるを得ない症例も少くないので, AT-2266の安全性をも併せて検討するために14日間投与を行った。効果判定はU. T. I.薬効評価基準と同基準で行い, つぎのような成績を得た。
1) 臨床成績は25例中, 著効11例, 有効8例, 無効6例で総合有効率は76%であった。
2) 細菌学的効果は25株中, 消失19株, 不変6株で消失率は76%であった。菌交代はなかった。
3) 副作用は, 一時的に軽度な食思不振1例, 悪心1例を認めたが投薬中止には至らなかった。
なお投薬前後の臨床検査値で, 1例にS-GOT, S-GPTの上昇を認めた。
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