β-TCPの合成を湿式および乾式法で試みた.湿式法(40℃, 80℃)では(Ca+Mg)/P供給比, pHを変えて合成を行ったが, β-TCPの生成は認められなかった.しかしながら, ここで生成したMg含有アモルファスを長期間, 酢酸カリウム緩衝溶液中に浸漬したところ, β-TCPパターンが現れた.また, 湿式法で合成したMg含有アモルファス物質を焼成したところ, 200℃ですでにβ-TCPの析出が認められた.一方, 乾式合成では, CaHPO
4・2H
2OとCaCO
3を化学量論的モル比2:1で混合し, 1100℃で焼成したところ, 結晶性のよい, ほぼ純粋のβ-TCPが生成した.なお, β-TCPのコンピュータ・グラフィックスを試みたところ, 直鎖状のカラム[PO
4-Ca*-Ca-PO
4-Ca*-Ca](Ca*:席占有率0.5)とジグザグ状のカラム[PO
4-Ca-Ca-Ca-PO
4]の組合せにより, 理想的な菱面体R3cからかなり歪んだ複雑な構造になっていることが, わかりやすく描写された.
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