人胎盤から大量のprogesteroneとestrogenが分泌されていることは, 以前からよく知られていた.しかし, 人胎盤には3β-ol dehydrogenase と aromatizing enzyme system は豊富に存在するが, その他のhydroxylase, 側鎖断裂酵素がみとめられないので, cholestero1からのprogesterone, estrogenの
生合成
が行なわれ難く, その性ホルモン
生合成
機構は不明瞭であつた.近年のDiczfalusyを頂点とする研究
1) 2) 3) 4) により, progesterone
生合成
のためにはpregnenolone, estrogen
生合成
のためにはandrogen が主として胎児副腎から人胎盤に供給され, 胎盤の強い3β-oldehydrogenase, aromatizingenzymeの作用によりfeto-Placental unitという型でprogesterone, estrogen が
生合成
されていることが明らかにされた.
以上の様に, feto-placental unitにおける性ホルモンの
生合成
は, 主として人について研究され解明されたため, その
生合成
は非常にactiveであるとの考えが通念となつた.しかし, 妊娠後半に卵巣を摘出しても流産をおこさない人と, 妊娠全期を通じて妊娠維持のために卵巣が必要な家兎, ラット等では, feto-placental unit における性ホルモンの
生合成
はことなる筈である.したがつて著者らは, feto-placentalunitにおける性ホルモン
生合成
についてほとんど研究されていない家兎を選び研索をすすめ, その機構を明らかにし, 人のそれと対比させようと試みた.
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