非外傷性小腸穿孔の発生頻度は低い.今回われわれは,小腸穿孔をきたしたびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は70歳,女性. 2003年6月26日夕方より腹痛出現し, 2日後に近医を受診.腹部CT検査上, free air を認めたため,手術目的に同日当院に紹介受診となった.既往歴に高血圧症,慢性関節リウマチがあり,左頸部リンパ節腫脹にて他院にて精査中であった.来院時,体温38.1度.腹部は硬く,全体に腹痛,圧痛,反跳痛,筋性防御を認めた.白血球4,700/μl, CRP 39.9mg/dl. 腹部CT検査上,多量の腹水およびfree airを認め,消化管穿孔の診断にて緊急手術となった.開腹時, Treitz靱帯より約70cmの空腸に穿孔部を認め,小腸部分切除術,開腹ドレナージ術,腸間膜リンパ節生検を施行した.組織学的検索の結果,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断された.
抄録全体を表示