本稿は,大学進学や学生生活の経済的,心理的な負担を軽減する可能性を有する住まいとして
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ホームシェアに着目した。そして,
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ホームシェアを推進する「京都ソリデール事業」の展開と学生の利用実態の両面から,その可能性と課題について探求した。京都ソリデール事業は,行政,マッチング事業者,学生,高齢者の大きく4主体によって成り立つ。事業が高齢者や学生から信頼を得るには,行政やマッチング事業者の果たす役割が大きい。学生は,大学進学と同時に
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ホームシェアを始めるよりも,学生生活の途中から入居することの方が多い。この理由として,①
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ホームシェアを知る契機の違い,②マッチング事業者や高齢者からの信頼度の違い,がある。また,
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ホームシェアを開始した学生は,入居によって生まれた,経済的,心理的,時間的余裕や,高齢者との関係から,学生生活を変化させていた。こうした観点から,
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ホームシェアは,学生が心地よいと感じる心理的状況,関係性,場所として,学生生活を支えるホームとなりうると結論づけた。ただし,
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ホームシェアにおけるホームは可変的であり,その構築にも不安定化にも繋がる。以上より,学生の住まいの問題と大学進学・学生生活といった教育の問題を架橋する時,物的な建物のみならず,心地よく学びに集中できるホームまでをも内包した教育空間に注目すべきであると主張した。
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