〈緒言〉当院では、平成18年から看護支援システム(以下システムという)の運用を開始した。当初は運用基準に沿って稼動することが精一杯で、本来のシステムとして看護実践が有効に実施できていない状態であった。看護部では、
看護診断
はNANDA(以下
看護診断
という)を導入しシステム稼動開始以前から
看護診断
の学習会を幾度か実施し、スムーズにシステムに移行できるよう準備を行った。また、病棟においてもスムーズにシステム運用ができるよう病棟内でも勉強会を実施した。しかし、実際の運用が開始すると、
看護診断
の立案に整合性がないことが判明した。そこで当病棟内で実施したシステム運用と患者主体の看護実践のための教育方法を報告する。
〈方法〉まず、
看護診断の立案率と看護診断
ラベルの整合性について検索を行った。立案率については、1週間以上入院している患者について、
看護診断が患者の状態にあった看護診断
数を平均化した。また、疾患別・到達目標レベルも参考に評価した。
看護診断
の整合性については、
看護診断
ラベルを、脊椎疾患・THA・TKAまた、その他として大腿骨頚部骨折の4パターンに分類した。その結果を踏まえ患者主体の
看護診断
が立案されているかどうかについて検討し教育方針を計画した。
〈結果〉
看護診断
の立案率は平均3.6診断であった。疾患別では、脊椎疾患では平均
看護診断
立案率は4.2
看護診断
レベルであった。THAでは、
看護診断
立案率は2.1であり、TKAでは、4.1であった。また、大腿骨頚部骨折においての立案率は3.7であった。
看護診断
の整合性についてのオーディットは師長が行った。オーディットの結果整合性を認められた
看護診断
名は43_パーセント_であり、エビデンスで証明できないものがほとんどであった。特に脊椎疾患においては、患者が「死にたい」「死にたいのに自分で死ぬこともできない」と訴えていることをSOAPしているにもかかわらず、心理的診断ラベルを立案していない患者が100_パーセント_であった。本来であれば霊的安寧促進準備状態の
看護診断
ラベルが立案されるべきである。また、THA・TKA術前患者のすべてに【不安】
看護診断
が92_パーセント_立案されていた。大腿部頚部骨折の患者には、96%で末梢性神経血管性機能障害リスク状態が立案されている。これについては、整合性にあった
看護診断
である。手術後の患者には前例に皮膚統合性障害が立案されている。転倒の危険性がある患者は不隠行動予測スクアで判断し、転倒リスク状態が該当する患者には前例
看護診断
が立案されていた。以上のことを踏まえ、教育計画を立案し実施した。まず、
看護診断
プロセスを2回実施し、POSも含めた看護実践論を3回実施した。その後入院患者で実際に症例検討と
看護診断
の妥当性と整合性について勉強会を5症例実施し、その後のペーパーペーシェントでは、100点中80点以上が88%になった。2年の教育と患者カンファレンスでの師長の助言で、患者主体の
看護診断
が徐々に理解されてきた。平成20年3月のオーディットでは、脊椎損傷の患者で「死にたい」と言語化された患者には、霊的安寧準備状態が立案された。また、家族への介入に必要な家族介護者役割緊張などの
看護診断
も立案されるようになった。
<まとめ>勉強会が
看護診断
がなぜ必要なのか、
看護診断
と看護実践がリンクする必要性が根拠から成立される事が看護師に認知できてきた事が示唆された。
抄録全体を表示